相続人が全員相続放棄をした場合、あるいは法定相続人がいるかわからない場合、家庭裁判所に対して「相続財産管理人」の選任を申し立てます。
この申し立ては被相続人の利害関係者や検察官等によって行われ、選任された相続財産管理人は相続人や相続人の関係者が特定されるまで、被相続人の遺産を管理します。
なお、この場合の利害関係者とは、被相続人の債権者や特別縁故者、特定贈与を受けた者などを指し、もちろん相続放棄をした者も、その範囲に入ります。
相続財産管理人の仕事
相続財産管理人が選任されると、家庭裁判所によりその旨が公告します。
公告後2ヶ月間、相続財産管理人は相続人が現れるのを待ち、その間は相続人の遺産を管理します。
そして、2ヶ月を過ぎても相続人が現れずに特定されなかった場合、今度は被相続人の債権者や受遺者に対して遺産の配分を請求するように求めます。
それでも相続人や相続人の債権者が不明の場合や、債権者や受遺者が受領したものを差し引いても相続財産が残る場合は、さらに6ヶ月以上の期間を定めたうえで、相続財産管理人や検察官の請求により相続人の権利を主張する公告行う必要があります。
それでもなお、相続財産が残った場合は、残った相続財産を特別縁故者に提供するか、あるいは国庫に帰属します。
逆に、借金ばかり残ってしまう場合は、すべてのプラスの財産を現金化して、債権者などへ配当し、相続財産が不存在となったとき、相続財産管理人は仕事を終えることとなります。
このように相続人がいるかわからず、相続財産管理人の申立てを検討されている方は、まずはお気軽に当事務所にご相談ください。
申立てに必要な書類
(1) 申立書
(2) 申立所に添付する書類
・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合、その子(及びその代襲
者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・被相続人の兄弟姉妹で死亡している方がいらっしゃる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時まで
のすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・代襲者としてのおいめいで死亡している方がいらっしゃる場合、そのおい又はめいの死亡の記載が
ある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・被相続人の住民票除票又は戸籍附票
・財産を証する資料(不動産登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書)、預貯金及び有
価証券の残高が分かる書類(通帳写し、残高証明書等)等)
・利害関係人からの申立ての場合、利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書)、金銭消費
貸借契約書写し、相続放棄申述受理証明書等)
・財産管理人の候補者がある場合にはその住民票又は戸籍附票、戸籍謄本、後見登記されていないこ
との証明書
申立てにかかる費用
(1)収入印紙 800円
(2)切手 管轄の裁判所による(通常約1,000円程度)
(3)官報広告料 (通常約4,000円~5,000円程度)
(4)予納金
※ただし、相続財産が僅少であったり、相続財産の中の現金や預貯金がまったく無い場合に必要
(事案により約300,000円~)
(5)弁護士報酬や司法書士報酬