【事務所ブログ】☆第49回☆成年後見制度改正まとめ~いつから変わる?補助への一元化と利用中の方の注意点~

2026年6月に成立した改正法は、法定後見を「補助」に一元化し、本人に必要な範囲・期間で支援する仕組みに見直すものです。2026年10月17日時点では、この新しい仕組みは施行前です。今すぐ新ルールで終了・交代ができるわけではありません。
こんにちは、司法書士の近藤です。今週は行楽日和で、お出かけに行かれた方も多いのではないでしょうか。一方でインフルエンザも流行っておりますので、体調管理には十分お気をつけください。
「成年後見は一度始めると、ずっと続くと聞いた」「改正で途中終了できるの?」「すでに利用している家族はどうなる?」。今回は、成立した改正の内容と、今の手続きで気を付けたい点を整理します。
◆成年後見制度の改正は、いつから始まりますか?
法律の成立と、新制度を利用できる時期は別です。
成年後見制度の見直しを含む「民法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第45号)は、2026年6月に成立し、6月24日に公布されました。成年後見に関する主な改正は、公布から2年6か月以内の、政令で定める日から施行される仕組みです。
同じ改正法には遺言に関する改正も含まれますが、項目によって施行時期が異なります。「法律が公布されたので、後見も遺言もすべて変わった」と理解しないことが大切です。法務省民事局「成年後見制度に関する制度改正の状況について」3〜7頁(厚生労働省掲載・PDF)
◆「後見・保佐・補助」が「補助」に一本化されるのですか?
改正後は、法定後見の「後見」「保佐」という類型を廃止し、「補助」の制度に一元化します。
現在は本人の判断能力の程度によって、原則として利用する類型が分かれます。改正後は、必要な手続きを本人に代わって行う権限などを、個別に定める形が基本になります。
例えば、遺産分割のための支援が必要なら、その行為に関する代理権を定めることが考えられます。これは制度を説明するための例で、当事務所の相談事例ではありません。
一方、判断能力を欠く状態が通常である方については、一定の重要な財産行為を広く取り消せる「特定補助」の仕組みも設けられます。支援や保護自体をなくす改正ではなく、必要な内容を見極める仕組みへの変更です。法務省民事局「改正後の補助に係る各審判を適切に選択・利用可能とするための対応」(厚生労働省掲載・PDF)

◆遺産分割が終わったら、後見も終了できますか?
改正後は、判断能力が回復していなくても、制度利用の必要がなくなったと家庭裁判所が認める場合に、利用を終了できる仕組みになります。
ただし、「遺産分割が終われば自動終了」「家族がやめたいと言えば終了」という制度ではありません。 その後の預金管理や契約、生活を支える体制も踏まえた判断が必要です。本人が困らずに暮らせるかが重要になります。法務省民事局・前掲資料「必要性の消滅による補助の制度の終了」
なお、施行前の現在の制度では、遺産分割など当初の目的を果たしただけで当然に終わるわけではありません。現在の申立てを「用事が済んだら簡単にやめられる」という前提で進めないようにしましょう。裁判所「家事事件Q&A・成年後見について」
◆支援する人の交代や、本人の希望の扱いも変わりますか?
改正では、本人の意見を踏まえた選任や、本人の意向を把握するための情報提供・聴き取りを重視します。また、不正行為がある場合だけでなく、本人の利益のため特に必要がある場合にも、家庭裁判所が解任できる仕組みになります。
本人の状況に合った支援へ見直しやすくする改正ですが、家族が自由に担当者を選び直せるわけではありません。報酬についても、行った事務の内容などを考慮することが明確になりますが、一律の値下げや無料化が決まったものではありません。法務省民事局「制度改正の状況について」5頁
◆任意後見も変わりますか?
任意後見にも見直しがあります。例えば、家庭裁判所が任意後見監督人による監督の必要が明らかにないと認める場合、監督人を選任せず、家庭裁判所が直接監督する仕組みが設けられます。
誰でも監督なしに利用できるという意味ではありません。現行制度では、任意後見契約を結ぶだけで直ちに任意後見人として代理できるわけではなく、任意後見監督人の選任が必要です。将来の改正と、今結ぶ契約の効力を分けて考えましょう。法務省民事局「任意後見制度の利用促進」(厚生労働省掲載・PDF)
◆すでに後見・保佐を利用している家族は、手続きが必要ですか?
施行によって、利用中の後見・保佐がすべて自動的に新しい補助へ切り替わるわけではありません。
経過措置では、基本的に従来の制度内容での継続が可能です。ただし、本人の意向に関する義務や解任事由など、新しい規定が適用される部分もあります。新しい補助への移行や利用終了を希望する場合は、申立ての要否と条件を確認する必要があります。現在の補助や、既存の任意後見契約の扱いも含め、利用中の制度を確かめてください。法務省民事局「制度改正の状況について」8頁・経過措置
◆実務上、今から何を準備するとよいですか?
制度名より先に、「本人がどの手続きで困っているか」を整理すると、相談の方向が決めやすくなります。
- 本人の希望、生活状況、今できていること
- 必要な手続き:遺産分割、不動産売却、預金管理、施設契約など
- 期限や支払期日と、継続的な支援が必要かどうか
- 利用中の制度、審判書、任意後見契約などの有無
支払いや相続手続きが止まっている場合は、改正を待つだけで問題が解決するとは限りません。現在使える制度と、他の支援の方法を具体的に検討しましょう。

◆よくある質問(FAQ)
Q1 成年後見制度そのものがなくなるのですか?
いいえ。法定後見の類型を見直す改正です。判断能力が十分でない方を支える制度や、任意後見制度がなくなるわけではありません。
Q2 家族なら必ず補助人に選ばれますか?
必ず選ばれるとは限りません。本人の意見や利益、必要な支援などを踏まえて家庭裁判所が判断します。
Q3 今の後見人に報告や財産管理をやめてもらってよいですか?
改正法が成立したという理由だけで、現在の職務や報告を止めることはできません。現在の審判と制度に沿って対応する必要があります。
Q4 家族信託を結べば後見は不要ですか?
一律にはいえません。信託する財産の管理と、本人の生活に必要な契約などでは対象が異なります。契約を結べる判断能力も含め、何に備えるのかを整理して検討します。
◆今の困りごとと、改正後の選択肢を分けて相談しましょう
改正の中心は、本人の意思を尊重し、必要な支援を必要な範囲で利用しやすくすることです。施行前の今は、現在の制度で必要な対応を確認しながら、改正後の見直しに備えることが大切です。
豊田市・岡崎市周辺で成年後見や将来の財産管理をお考えの方は、司法書士こんどう事務所へご相談ください。現在困っている手続きや、利用中の制度をお伝えください。成年後見の申立書類の作成など、司法書士が対応できる業務の範囲を含めてご案内します。
制度確認日:2026年10月17日。本記事は同日時点の一般的な制度説明です。施行日や今後の手続案内は最新の公的情報をご確認ください。
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