こんにちは 司法書士の近藤です。
7月も下旬に入り、暑さが厳しくなってまいりました。
お盆に向けてご家族が集まる機会も増える時期ですが、こうしたタイミングで「遺言書を書いておきたい」とご相談いただくことが実は多いのです。
今回は、「遺言書は自分で書けるの?」「公正証書遺言と自筆証書遺言はどう違うの?」 という、遺言書に関する基本の疑問にお答えします。
【結論】遺言書は自分で書くことができます(自筆証書遺言)
ただし、法律で定められた形式を守らないと無効になるリスクがあります。
確実性を重視するなら公正証書遺言がおすすめです。
どちらが良いかは、財産の内容や家族の状況によって判断が分かれます。
そもそも遺言書にはどんな種類がある?
遺言書には主に次の2種類があります。
① 自筆証書遺言
遺言者本人がすべて手書きで作成する遺言書です。紙とペンと印鑑があれば、いつでも作成できます。
② 公正証書遺言
公証役場で公証人に内容を伝え、公証人が文書にまとめて作成する遺言書です。
証人2名の立ち会いが必要です。
※もう1つ「秘密証書遺言」という方式もありますが、実務ではほとんど使われていないため、今回は省略します。
法的な効力はどちらも同じです。違いは、作成方法・保管方法・安全性にあります。
自筆証書遺言のメリット・デメリットは?
メリット
- 費用がほとんどかからない
- いつでも一人で作成・書き直しができる
- 内容を誰にも知られずに作成できる
デメリット
- 形式不備で無効になるリスクがある(日付の書き方、訂正方法など厳格なルールあり)
- 自宅保管の場合、紛失・偽造・隠匿のおそれがある
- 相続発生後、家庭裁判所での「検認」手続きが必要(法務局保管制度を利用しない場合)
- 内容が不明確だと、かえって相続人間の争いを招くことがある
実務上、自筆証書遺言が原因でトラブルになるケースは少なくありません。
「書いたはいいけど使えなかった」ということも起こりえます。
公正証書遺言のメリット・デメリットは?
メリット
- 公証人が作成するため、形式不備で無効になるリスクがほぼない
- 原本が公証役場に保管されるため、紛失・偽造のおそれがない
- 家庭裁判所での検認が不要で、すぐに相続手続きを開始できる
- 遺言者が外出できない場合、公証人に自宅や病院に来てもらうことも可能
デメリット
- 公証役場への手数料がかかる(財産額に応じて数万円〜)
- 証人2名の立ち会いが必要
- 作成までに2〜3週間程度の準備期間がかかる
- 公証人と証人に遺言の内容を知られる
費用はかかりますが、「確実に遺言を残したい」という方には公正証書遺言がもっとも安心です。
自筆証書遺言書保管制度とは?デメリットを補う新しい仕組み
2020年7月から、法務局で自筆証書遺言を保管してもらえる「自筆証書遺言書保管制度」が始まっています。
この制度のポイント
- 法務局が遺言書を保管するため、紛失・偽造のリスクがない
- 相続発生後の検認が不要になる
- 保管申請時に法務局の職員が形式面のチェックをしてくれる
- 保管手数料は1通3,900円と安価
ただし注意点として、法務局がチェックするのは「形式面」のみです。
遺言の内容(法律的な有効性、遺留分への配慮など)は確認されません。
「形式は整っていたが、内容に問題があった」というケースも考えられますので、内容面については専門家に相談されることをおすすめします。
結局どちらを選べばいい?判断基準を解説
自筆証書遺言が向いている方
- 財産がシンプル(自宅と預貯金のみなど)
- 相続人が少なく、争いの可能性が低い
- 費用をかけずにまず遺言を残しておきたい
- 法務局の保管制度を利用する予定がある
公正証書遺言が向いている方
- 不動産が複数ある、財産の内容が複雑
- 相続人が多い、または関係が複雑(再婚・前婚の子がいるなど)
- 相続トラブルを確実に防ぎたい
- 遺留分に配慮した内容にしたい
- 事業承継も絡んでいる
迷われた場合は、まずは専門家に相談し、ご家庭の状況に合った方法をアドバイスしてもらうのが確実です。
遺言書を書くときの注意点は?
どちらの方式でも、次の点に注意してください。
- 遺留分を考慮する:法定相続人には最低限の取り分(遺留分)が保障されています。遺留分を侵害する内容の遺言は、後に争いの原因となります。
- 財産の特定を正確に行う:不動産は「住所」ではなく「地番」「家屋番号」で記載する必要があります。預貯金は金融機関名・支店名・口座番号まで記載します。
- 遺言執行者を指定する:遺言の内容を確実に実行してもらうため、遺言執行者を指定しておくことをおすすめします。
- 付言事項で想いを伝える:法的な効力はありませんが、「なぜこの分け方にしたのか」を書き添えることで、ご家族の理解が得られやすくなります。
こんどう事務所のサポート
当事務所では、遺言書の作成に関する次のサポートを行っています。
- 遺言書の内容に関するご相談・アドバイス
- 公正証書遺言の原案作成
- 公証役場との事前打ち合わせ代行
- 証人の手配
- 自筆証書遺言のチェック・アドバイス
- 法務局の保管制度利用のサポート
豊田市・岡崎市・みよし市・安城市・知立市など、西三河エリアを中心にご対応しています。
初回相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。
📞0120-303-067
📩 お問い合わせフォームはこちら
https://souzoku-kondo-legal.jp/solution/contact/
まとめ
- 遺言書は自分で書ける(自筆証書遺言)が、形式不備で無効になるリスクがある
- 確実性を求めるなら公正証書遺言がおすすめ
- 法務局の保管制度を使えば、自筆証書遺言のデメリットを一部補える
- どちらが良いかは、財産の内容と家族の状況で判断する
- 遺留分への配慮と財産の正確な特定が重要
よくある質問(FAQ)
Q1. 遺言書はいつ書くべきですか?
元気なうちに書くのがベストです。認知症が進行すると遺言能力が認められず、遺言書を作成できなくなる可能性があります。「早すぎる」ということはありません。
Q2. 一度書いた遺言書は変更できますか?
はい、いつでも変更・取消しが可能です。自筆証書遺言なら新しい遺言書を書けばよく、公正証書遺言も新たに作成することで変更できます。日付の新しい遺言書が優先されます。
Q3. 遺言書の作成費用はどれくらいですか?
自筆証書遺言は基本的に無料(法務局保管制度を使う場合は3,900円)。公正証書遺言は財産額に応じた公証役場の手数料(数万円〜)に加え、司法書士等への報酬が必要です。
Q4. 夫婦で一通の遺言書にまとめて書けますか?
いいえ、遺言書は一人につき一通です。夫婦連名の遺言書は法律上無効となります。それぞれが別々に作成する必要があります。
Q5. 豊田市周辺で公正証書遺言をつくる場合、どこの公証役場に行けばいいですか?
豊田市の方は豊田公証役場が最寄りです。当事務所が公証役場との事前調整を行いますので、ご自身で直接やりとりする必要はありません。お気軽にご相談ください。
➡️ 次回は、「スマート変更登記とは?住所変更登記の義務化と新制度」について解説します。
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