【事務所ブログ】2026年☆第29回☆『家族信託と成年後見制度の違い』 ~「どちらを選ぶべきか」後悔しないための実務的判断ポイント~
🎍 明けましておめでとうございます。
みなさま、年末年始はいかがお過ごしでしたでしょうか。
私は久しぶりにゆっくりと時間を取り、これまでの仕事やこれからの方向性について、落ち着いて心の整理をすることができました。
本年は、相続対策・認知症対策の中でも、特に家族信託に力を入れて情報発信と実務に取り組んでいきたいと考えています。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、相続や認知症対策のご相談の中で、
「家族信託と成年後見制度、どちらを使えばいいのでしょうか?」
というご質問を非常によくいただきます。
どちらも“認知症に備える制度”として知られていますが、
実際には目的・仕組み・使い勝手・将来への影響が大きく異なります。
制度の違いをよく理解しないまま選択してしまうと、
「もっと早く知っていれば別の方法があったのに…」
と後悔につながるケースも少なくありません。
今回は、実務の現場で実際に起きている相談事例を踏まえながら、
家族信託と成年後見制度の違いを、できるだけ分かりやすく解説します。
◆ 1. 成年後見制度とは?
成年後見制度は、認知症や知的障害などにより判断能力が低下した方を
法律的に保護するための制度です。
家庭裁判所に申立てを行い、裁判所が選任した後見人が、
本人に代わって財産管理や契約行為を行います。
すでに判断能力が低下してしまった場合でも利用できる点が大きな特徴で、
「今まさに困っている」状況を救済する制度といえます。
一方で、後見人は裁判所の監督下に置かれるため、
不動産の売却や多額の支出には裁判所の許可が必要となり、
柔軟な財産管理が難しいという側面があります。
◆2. 家族信託とは?
家族信託は、本人が元気で判断能力があるうちに、
将来の財産管理・処分を信頼できる家族に託す契約です。
裁判所は関与せず、
「誰に」「どの財産を」「どのような目的で」
管理・運用・処分させるのかを自由に設計できます。
例えば、
・認知症後の生活費・介護費用の支払い
・介護施設入所費用の捻出
・将来の自宅や収益不動産の売却
などを、あらかじめ契約書で定めておくことが可能です。
家族信託は、将来起こりうる問題を見越して準備する制度です。
◆3. 決定的な違い①「事前準備」か「事後対応」か
両制度の最も大きな違いは、「いつ使える制度か」です。
成年後見制度は、判断能力が低下してから利用する“事後対応”の制度。
一方、家族信託は、判断能力があるうちにしか契約できない“事前準備”の制度です。
そのため、以下のような使い分けが重要になります。
・すでに認知症が進行している → 成年後見制度
・まだ元気で将来に備えたい → 家族信託
「もう少し早く相談していれば家族信託が使えたのに…」
というケースは、決して珍しくありません。
◆ 4. 決定的な違い② 財産管理の自由度
成年後見制度では、後見人が本人の財産を厳格に管理します。
本人保護が最優先されるため、
積極的な資産運用や柔軟な判断は原則としてできません。
一方、家族信託では、
親の考えや家族の事情に合わせた柔軟な管理が可能です。
「親のために必要な支出をスムーズに行いたい」
「状況に応じて不動産を売却したい」
といった希望がある場合、家族信託の方が向いています。
◆ 5. 決定的な違い③ 家族の関与と安心感
成年後見制度では、第三者(弁護士・司法書士など)が
後見人に選任されることも多く、
家族が直接判断できる場面は限られます。
家族信託では、受託者を家族が務めるため、
日常的な判断や細やかな対応が可能です。
「できる限り家族の手で親を支えたい」
というご家庭には、家族信託が適しています。
◆6. 決定的な違い④ 費用と長期的負担
成年後見制度では、後見人への報酬が毎月発生します。
報酬額は家庭裁判所が決定し、
原則として本人の財産から支払われます。
一方、家族信託は初期費用はかかるものの、
継続的な報酬が不要なケースが多く、
長期的には費用負担を抑えられる場合もあります。
目先の費用だけでなく、
将来にわたるトータルコストを考えることが重要です。
◆ 7. どちらを選ぶべきか?判断の目安
一般的な判断の目安は以下のとおりです。
・すでに認知症が進行している → 成年後見制度
・まだ判断能力があり将来に備えたい → 家族信託
・不動産や収益物件がある → 家族信託が有効
・身寄りがなく支援が必要 → 成年後見制度
ただし、実際にはご家族の状況によって最適解は異なります
◆8. こんどう事務所の考え方
当事務所では、制度ありきで話を進めることはありません。
ご本人の状況、ご家族の想い、財産内容を丁寧に伺い、
家族信託・成年後見制度のどちらが適しているかを一緒に考えます。
場合によっては、
「今は何もしない」「将来に備えて準備だけ進める」
といった選択をご提案することもあります。
初回相談は無料ですので、
迷われている段階でもお気軽にご相談ください。
📘 まとめ
・成年後見制度は「判断能力低下後の保護制度」
・家族信託は「元気なうちに備える財産管理の仕組み」
・制度選択を誤ると、後戻りできないケースもある
・早めの情報収集と専門家相談が何より重要
➡️ 次回は、「家族信託で相続トラブルを防ぐ方法」を解説します。
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