【事務所ブログ】2025年☆第3回☆「収益不動産のための家族信託」
みなさん、こんにちは。
今週は比較的暖かい日が続いておりますが、依然としてインフルエンザも流行しておりますので、体調管理をしっかりして、元気に過ごしてくださいね。
さて、今週のテーマは「収益不動産のための家族信託」です。収益不動産を所有しているご家族が直面しやすい問題を解決するための有効な手段について、具体的な事例をもとにご紹介します。
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今回の事例
【ご家族構成】
•母(ご本人):87歳。実家敷地内の離れで一人暮らしをしていますが、高齢のため介護施設への入所を検討中です。
•長女(A女):実家に夫と住み、フリーランスとして仕事をしています。
•養子(B男):A女の夫で、母の婿養子。実家で自営業を営みながら、母の財産管理も任されています。
•次女(C女):結婚して県内に居住。
•三女(D女):結婚して関東に居住。
【ご本人の財産状況】
•自宅不動産:1億円(固定資産税評価額)
•収益アパート(A市2棟):3億円
•収益アパート(B市1棟):8000万円
•金融資産:1億円
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ご相談内容
B男さんから、次のようなご相談をいただきました。
1.母が最近、物忘れが多くなってきており、認知症になる可能性が心配です。
2.母が認知症になった場合、収益不動産の管理(家賃請求や修繕、契約更新など)ができなくなるのではないか?
3.特に、B市にある老朽化した収益不動産については、建築業者から建替えを提案されていますが、どう対処すればよいか悩んでいます。
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弊所からの回答
認知症になると、以下のような問題が発生します:
•財産管理の制限:収益不動産の管理や処分が難しくなり、預貯金の引き出しもできなくなります。
•後見人の選任が必要:家庭裁判所に申し立てを行い、法定後見人を選任する必要があります。ただし、財産が多額である場合、親族ではなく弁護士などの専門職が選ばれる可能性が高いです。
•後見人報酬の負担が重い:専門職後見人が選任された場合、毎月の報酬(約6万円以上)が発生します。
•収益不動産の建替えは難しい:相続税対策目的の建替えは、後見制度では認められない可能性があります。後見制度の目的は本人の財産維持であり、相続人の利益を目的としていないからです。
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これらの課題を解決するため、次のような家族信託契約を提案しました
•委託者兼受益者:母(ご本人)
•受託者:B男
•受益者代理人:A女
•信託監督人:B女
この家族信託契約により、以下が可能になります
1.財産管理・処分権限の委託
母が認知症になった場合でも、B男さんが収益アパートの管理や修繕、建替えをスムーズに行えます。また、受益者代理人、信託監督人を相続人が担い、信託に関与させることで、争族対策にもなります。
2.相続手続きの簡略化
信託内で財産の帰属権利者を指定しておくことで、遺産分割を行うことなく財産を承継することが可能です(遺言の機能)。
3.相続税対策の実現
家族信託の活用で、相続税対策としての収益アパートの建替えも可能となります。
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まとめ
収益不動産をお持ちのご家族にとって、家族信託は財産管理や相続対策において非常に有効な手段です。今回のようなケースでも、家族信託を活用することで多くの問題を未然に防ぐことができます。弊所では、家族信託、相続、遺言に関するご相談を初回無料で受け付けております。
お気軽にお問い合わせください!
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