家族信託・比較編 ~vol.4  任意後見~

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家族信託・比較編 ~vol.4  任意後見~

みなさんこんにちは。

司法書士の近藤です。

さて、前回は「家族信託と遺言」をテーマにお送りしました。

今回のテーマは、「家族信託と任意後見」です。

厚労省HP「成年後見制度の現状」によると、平成24年から平成29年までの任意後見の利用状況の推移としては、1868名、1999名、2119名、2245名、2461名、2516名となっており、年々増加しています。

任意後見の特徴として、自分の判断能力が不十分となった場合に備えて、予め、公正証書による契約によって、後見人となる人及び委託する事務の内容を決めておけることが挙げられます。

確かに、前々回ご紹介した「法定後見」(詳しくは、家族信託・比較編 ~vol.2 法定後見~)と比較すると、予め、契約によって「誰にどこまで委託するか」を決めておけるという点で、より柔軟な制度と言えます。

しかし、任意後見も成年後見制度の一類型であるため、本人の財産を積極的に活用したり、贈与をしたりする場合には限界があると言えます。成年後見のデメリットについては、前々回ご紹介した「家族信託・比較編 ~vol.2 法定後見~」の通りです。

それでは、任意後見と家族信託を比較した場合、以下とおりになります。

1、任意後見は、事務手続きがやや煩雑

・公正証書によって契約する必要がある。

・本人の判断能力が不十分になり、契約の効力を発生させるには、任意後見監督人の選任申立てが必須である。

→ 家族信託では、契約が必ずしも公正証書による必要はなく(私文書でも可)、効力発生させるのに家庭裁判所の関与は不要。

2、任意後見では、任意後見監督人は必須である。

→ 家族信託では、信託監督人などの設置は任意であり、最低限、委託者・受託者・受益者だけで契約は成立する。任意後見監督人は専門職が選任されるため報酬が必ず発生。

3、任意後見は、あくまで成年後見の一類型であるため、財産を減らすもしくはリスクがあるような行為は限界がある。

→ 任意後見は、財産の積極的な活用に限界があったり、本人以外のための財産の出費などは制限される。一方、家族信託は、成年後見制度ではないため、アパートの建替えや株式の運用等、財産の積極的な活用であったり、本人以外への贈与も可能。

4、任意後見は、本人の判断能力が不十分となるときまではスタートしない。

→ 家族信託は、判断能力の有無に関わらず、いつでもスタートできる。任意後見の場合、判断能力が十分である時は、任意代理契約を併用して活用することが多いが、金融機関が対応しないケース(代理人であるにも関わらず、本人の署名押印を求められるなど)がある。

以上からすると、家族信託の方が使い勝手が良い制度であると言えます(反対に、本人の財産を保護するという面からすれば、任意後見の方が固い制度であるとも言えます)。

ただし、家族信託の場合、財産管理権限がしか認められないため、身上監護に該当する部分については、任意後見をする意味があります。

結局のところ、家族信託と任意後見を併用するのがベストであると言えます。

認知症対策として「家族信託」をご検討の方は、当事務所までお気軽にご相談ください。

近藤

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