家族信託・比較編 ~vol.3 遺言~

相続・遺言の無料相談

家族信託・比較編 ~vol.3 遺言~

みなさんこんにちは。司法書士の近藤です。

さて前回は、「家族信託と成年後見」をテーマにお送りしました。

今回のテーマは、「家族信託と遺言」です。

日本公証人連合会HPによると、平成25年から平成30年までの公正証書の作成件数は、96,020件、104,490件、110,778件、105,350件、110,191件、110,471件と推移しており、増加傾向にあると言えます。

さて、改めて遺言とはどういうものでしょうか。

ご存知のとおり、自分の財産を、①「自分の死後」、②「誰に渡すか」を決めておくものです。

まず、①「自分の死後」という点ですが、これは、財産が移転する時期の問題です。

生前贈与をすれば、「生前に」財産を渡すことができますが、デメリットとなるのが、高額な税金です。

生前贈与では、相続時精算課税制度を活用して、親から子へ生前贈与する方法がよく使われますが、これはあくまで「贈与税」の特例であり、他の税金つまり、「不動産取得税」や「登録免許税」などがかかります。固定資産税評価額にもよりますが、ケースによっては費用面で100万円近くかかることもあります。

この点、家族信託を使えば、生前に名義を変えることができる上、実質上の権利は受益権という形に移行するため、本人を受益者とする信託(自益信託といいます。)であれば、贈与税、不動産取得税などはかかりません。信託登記の登録免許税こそかかるものの、評価額の0.4%(現在、土地の所有権の信託は、0.3%)となっており比較的少額で済みます。

また、生前に名義を変えることで、認知症対策にもなります。

遺言は、自分の死後、財産が移転することになるという点で、相続対策として活用されますが、相続前に、認知症になってしまった場合、財産が凍結されてしまう(売却したり、担保に入れたりできなくなる)リスクには対応できません。

家族信託をしておくことで、認知症になった後、例えば、一度は遺言の対象としたものの、老人ホームの入所金に充てるため、生前に自宅を売却するといった場合にも、これに対応することができます。

内閣府HPによれば、65歳以上の認知症高齢者数は、平成24年は462万人、高齢者の約7人に1人であったものが、平成37年には約700万人、約5人に1人になるとの推計があります。

今後増々、認知症対策の必要性は高まると考えられます。

次に、②「誰に渡すか」という点ですが、これは遺言で受け取る人(受贈者といいます。)を誰にするかという問題です。

これについては、家族信託でも信託終了時の帰属権利者を誰にするかを決めることで、遺言と同様の効果が得られます(遺言代用信託)。

さらに、遺言では誰に渡すかは決められても、その次(2代先)を誰に渡すかは決めることができません。あくまで、遺言で受け取った方が誰に渡すかを決める権限があります。

この点、家族信託によれば、年数の制限はあるものの、2代、3代先など先々まで渡す人を決めておくことができます(受益者連続型信託)。

遺言はあくまで相続対策の一つであり、認知症対策や先々の承継までは決められないことに注意が必要です。

認知症対策、先々の承継などで「家族信託」をご検討の方は、当事務所までお気軽にご相談ください。

近藤

¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤¤

豊田市・岡崎市・西三河地域で、相続手続き、認知症対策、家族信託をご検討の方は、一度、当事務所までご相談ください。 当事務所では、初回相談は無料とさせていただきます。お気軽にご相談ください。

お知らせの最新記事