民事信託(家族信託)契約と公正証書
みなさんこんにちは。司法書士の近藤です。
さて、民事信託(家族信託)の契約書は公正証書で作らなければならないのでしょうか?
まず、信託法では、信託の方法を契約、遺言、自己信託の3方式を定めています。このうち、契約による方法では、委託者と受託者との間の信託契約の締結により信託の効力が生ずるとあり、特にその形式については定められていません(信託法3条1号、4条1号)。
よって、私文書で作成しても、当然有効とはなりますが、これには多くのデメリットがあります。
具体的には次の3つがあります。
1、後日紛争になるリスク
特に認知症対策型の信託契約においては、委託者となる本人が高齢である場合が多く、意思能力が問題となるケースがよくある。また、作成人の署名などに疑義が生じることもあり、私文書では公正証書と比べ信頼性に劣る。
2、原本を紛失するリスク
私文書の場合、何らかの原因で契約書を紛失してしまうと、契約内容を証明することができなくなってしまう。公正証書であれば公証役場に原本が保管され、再発行が可能。
3、金融機関での口座が作れないリスク
私文書の場合、金融機関が信託口座の開設に応じてくれないところがある。また、融資についても、私文書だと応じてもらえないことが多い。
反対にメリットを挙げると、
1、公証人手数料がかからない。
2、公正証書では、原則として、予約を取った上で、公証役場に平日の業務取扱時間内に出向く必要があり、時間や手間がかかるが、私文書ならいつでも、すぐに作成することができる。
以上、メリット・デメリットを比較した上で、当事務所は公正証書で作成することをおすすめします。
民事信託(家族信託)に関するご相談は、当事務所までお気軽にご連絡ください。
近藤
【参考】
信託法
第三条(信託の方法)
信託は、次に掲げる方法のいずれかによってする。
一 特定の者との間で、当該特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の契約(以下「信託契約」という。)を締結する方法
(信託の効力の発生)
第四条 前条第一号に掲げる方法によってされる信託は、委託者となるべき者と受託者となるべき者との間の信託契約の締結によってその効力を生ずる。
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豊田市・岡崎市・西三河地域で、相続でお悩みの方、ぜひ一度、当事務所までご相談ください。なお、当事務所では、初回相談は無料とさせていただきます。
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