成年後見制度と家族信託の一般的比較

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成年後見制度と家族信託の一般的比較

みなさんこんばんは。

司法書士の近藤です。

さて最近、当事務所において、家族信託(民事信託)のご相談が日々増えてきています。

テレビなどでも注目されていることもあり、確かに、家族信託(民事信託)でしかやれないことはあるのですが、実際にお話を聞くと、他の制度でも実現できるということもあります。

よくあるご相談として、「親が高齢で体が弱ってきたため、そのうち老人ホームに入る予定。親の現預貯金だけでは入居資金が足りないため(自分達も経済的に余裕はない)、自宅を売って入居資金に充てたい。しかし、親が認知症になると自宅が売れなくなると聞いたので、今から準備しておきたい」というものがあります。

まず、何もせずに、親が認知症になってしまった後はどうなるでしょうか。

この場合、自宅を売却するには、成年後見人選任の申立てを家庭裁判所にして(法定後見)、選任された後見人が本人の代わりに売ることになりますが、さらに家庭裁判所の許可を得なくてはなりません。この許可がハードルが高いものになります。つまり、自宅を売る必要性を裁判所が認めないと許可が下りません。こうなってしまうと、売りたくても売れない、許可が下りたとしても、余裕を持って売りに出すことができず、結果、売り急ぐあまり買い叩かれてしまうなど不利益を被ることがあります。

では、親が認知症になる前にやれることは何でしょうか。

これには、任意後見と家族信託(民事信託)の2つの方法があります。

任意後見とは契約であり、契約内容において、代理権と同意権の範囲を自由に決めることができます。この契約の中に自宅の売却権限を入れておけば、家庭裁判所の許可は不要となります。ただし、任意後見監督人(通常、司法書士や弁護士などの専門家が選任される)がある程度、関与することになったり、また、任意後見監督人に対する報酬についても、財産の大小にはよりますが、通常、月に1~2万円程度支払う必要があります。

家族信託(民事信託)とは、受益者のために、信託目的に従い、本人から受託者(財産を管理等する立場の者)に財産を託すことをいいます。

成年後見制度との大きな違いは、成年後見制度が本人保護が理念の源であるのに対し、家族信託(民事信託)は、平成18年12月の信託法改正において、後見的な財産管理や遺産承継を目的とするものであり、比較的自由に設計できるという点です。

また、家族信託(民事信託)には、成年後見制度のような、身上監護権がない点も異なります。したがって、財産管理面は家族信託(民事信託)で、身上監護面は成年後見制度でといったように、成年後見制度を補完するものとして、両者を組み合わせるスキームを設計することもできます。

家族信託(民事信託)は、基本的に成年後見制度よりもかなり自由なものと言えます。例えば、任意後見の監督人に相当する者である信託監督人などを付けるかどうか、受託者(財産の管理人のような立場の人)に報酬を払うかどうか、自宅の売却権限を与えるかどうかなどを自由に決めることができます。

家族信託(民事信託)については、費用も高めになることもあり、初めから家族信託(民事信託)をしたいという方でも、家族信託(民事信託)ありきで依頼を受けるということはなく、お客様のご相談内容を伺った上で、お客様のニーズを任意後見などの他の手段では適えることができない場合に提案するようにしています。

近藤 

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