家族信託・民事信託とは③ ~受益者代理人~
みなさんこんにちは。
司法書士の近藤です。
さて、本日は「民事信託」の第3弾です。
前回、「信託監督人」についてでした。
今回は、「受益者代理人」についてです。
「受益者代理人」とは、受益者が認知症などで判断力を喪失したり、複数の受益者がおり権利行使が困難な場合に、受益者に代わって、当該受益者の権利に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有する者です。
信託監督人との違いですが、信託監督人の権限は、受益者の有する受託者に対する監督権に限られるのに対し、「受益者代理人」は、受益者の有するすべての権限を代理人として行使することができます。
他、信託監督人との違いは以下のとおりです。
1、権限行使について、信託監督人は、自己の名をもって権利を行使するのに対し、「受益者代理人」は、受益者の代理人として権利を行使をする。
2、行使する権限として、信託監督人が受託者の監督の権利であるのに対し、「受益者代理人」は受益者が有する権利(ただし、一定の権利については行使できない。)である。
3、選任方法として、信託監督人は信託行為の定めまたは裁判所の決定であるのに対し、「受益者代理人」は信託行為の定めのみ(ただし、当初の受益者代理人に限る。)である。
【参考・信託法】
(受益者代理人の権限等)
第139条 受益者代理人は、その代理する受益者のために当該受益者の権利(第四十二条の規定による責任の免除に係るものを除く。)に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
(受益者代理人の選任)
第138条 信託行為においては、その代理する受益者を定めて、受益者代理人となるべき者を指定する定めを設けることができる。
近藤
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