みなさん、こんにちは。

ようやく春の暖かさを感じる季節となってきましたが、花粉や黄砂の影響もあり、体調管理が難しい時期ですね。どうぞご自愛ください。

さて、先週に引き続き、「家族信託における4つの問題点」について、本日は、次の問題点とその対処方法について解説します。

「個人の所得と信託不動産の所得との損益通算ができません」

家族信託は、相続対策や高齢者の財産管理手段として注目されていますが、税務上の取り扱いには注意が必要です。
中でも、「損益通算の制限」によって、思わぬ税負担を抱えてしまうケースがあるため、しっかりと理解しておくことが大切です。

1. 損益通算の制限とは?
通常、不動産所得で赤字が出た場合、その損失を給与所得など他の所得と相殺(=損益通算)することで、所得税を軽減できます。

しかし、家族信託を利用している場合は注意が必要です。
信託財産として運用している不動産が赤字になっても、その損失は受益者個人の他の所得と損益通算できません。

つまり、信託不動産による赤字が出ても、それを給与所得などと相殺できず、赤字を節税に活かすことができないのです。

2. 対処方法
この制限に対しては、次のような対処方法があります。

(1) 信託契約の設計を工夫する
信託契約の設計によっては、受益者に直接不動産所得が帰属する形を取ることが可能です。

たとえば、「収益受益権(収益部分のみを分けて設定)」を設けることで、所得の帰属を調整できる場合があります。

ただし、これは税務上のリスクも伴うため、実行にあたっては必ず専門の税理士と相談のうえ、慎重に判断しましょう。

(2) 会社(法人)を活用する
信託財産の管理・運営を個人ではなく法人に任せるという方法もあります。

法人であれば、法人経費の活用や法人税の計算上、損失を相殺できる可能性があるため、一定の節税メリットが期待できます。

ただし、法人を設立・運用するにはコストや手間も発生するため、こちらも事前に専門家への相談が必要です。

(3) 他の節税対策と組み合わせる
損益通算ができないデメリットをカバーするために、次のような節税策を組み合わせるのも有効です。

青色申告の活用
 個人事業主として不動産所得を申告している場合、青色申告特別控除の適用により、所得税の負担を軽減できます。

資産の組み替え
 不動産の売却や買い替えなどにより、税務上有利な形に資産を再編することで、損益通算ができない影響を最小限に抑える工夫も可能です。

3. まとめ
家族信託は柔軟で便利な財産管理手法ですが、税務面の制約をしっかりと理解しておくことが大切です。

「損益通算ができない」という問題点に対しては、信託契約の工夫、法人の活用、他の節税策との組合わせ等、さまざまな方法で対処することができます。

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