相続法が変わります⑧~遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲~
みなさんこんにちは。
司法書士の近藤です。
前回は、相続法改正のうち、「相続の対抗要件に関する見直し」についてでした。
本日も、少し専門的になりますが、「遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲」についてです。
遺産分割前における相続財産の法的性質については、相続人の共有に属する(民法898条)とされています。この場合の共有の法的性質について、判例は、「相続財産の共有は、249条以下に規定する『共有』とその性質を異にするものではない(最判昭和30年5月31日)」としています(共有説)。
また、遺産分割対象となる相続財産は、原則として、「相続開始時」の相続財産ではなく、「遺産分割時」に存在する相続財産となります。
したがって、相続人の一人が遺産分割前に勝手に処分などしてしまった場合、遺産分割の対象とはならず、別途、共有持分権が侵害されたことを理由として、不当利得あるいは不法行為に基づく損害賠償請求をしなければなりませんでした。
この点、改正により、共同相続人の同意(処分した相続人の同意は不要)により、遺産分割の対象とすることができるようになりました。
【現行・条文】
(共同相続の効力)
第898条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
【改正・条文】
(遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲)
第906条の2
遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意により、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができる。
2 前項の規定にかかわらず、共同相続人の一人又は数人により同項の財産が処分されたときは、当該共同相続人については、同項の同意を得ることを要しない。
近藤
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