遺言執行者の職務③ ~就任承諾に関する裁判例②~

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遺言執行者の職務③ ~就任承諾に関する裁判例②~

みなさんこんにちは。

司法書士の近藤です。

さて、前回に引き続き、遺言執行者の就任承諾に関する裁判例をご紹介します。

今回は、遺言執行者が遺言者の死亡を知りながら、4年数か月にわたって、遺言執行者としての活動をすることがなかった場合において、遺言執行に必要な合理的期間を超えているとして民法1013条の適用が排除された仙台高判平成15年12月24日の事例(抜粋)です。

「Sは、Aの死亡を知ってから長らく遺言執行者としての活動はしていないが、・・・平成15年3月には控訴人の要請を受けその任務を遂行し、それまでも本人自身としては遺言執行者に就職しているとの認識を有していたのであるから、Sが本件遺言による遺言執行者に就職するのを拒絶したとまでいうことは困難である。」

「しかしながら、民法1013条が、遺言執行者がある場合に相続人の相続財産に関する処分権を喪失させているのは、遺言者の意思を尊重し、遺言執行者をして遺言の公正な実現を図らせる目的にでたものであり(最判昭和62年4月23日)、その反面として、その限りで、民法177条による不動産登記簿等の公示的機能を排斥し、取引の安全の要請を後退させる趣旨と解されるから、民法1013条は、遺言執行者が遺言執行に必要とされる合理的期間を超えて任務を懈怠し、又は任務遂行が困難な心身の状態にある場合は想定していないのであり、このような場合には、遺言執行者の指定を受けた者が具体的に就職拒絶の意思表示をしていなくても、法的にはこれを拒絶したものと同視して、民法1013条の適用は排除されると解すべきである。」

上記裁判例から、以下2点のことが言えると思います。

1、遺言執行者の就職の意思表示は書面などで明確にしておくべきだ。

2、民法1013条によると、遺言執行者がある場合、相続人のした処分行為は絶対無効であるが、これは反面、取引の安全を犠牲にするものであるから、遺言執行者としては、そのことを十分に意識して任務を誠実に遂行すべきだ。

近藤

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