相続法が変わります⑨~相続財産中の預貯金の仮払い制度~

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相続法が変わります⑨~相続財産中の預貯金の仮払い制度~

みなさんこんにちは。

司法書士の近藤です。

 

前回は、相続法改正のうち、「遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲」についてでした。

 

本日は、「相続財産中の預貯金の仮払い制度」についてです。

 

預貯金債権が相続時に当然に分割されるかについて、

判例は、「共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となるものと解するのが相当である。(最決平成28年12月19日)」とし、遺産分割協議が成立するまでは、原則として相続人が単独で預貯金の払い戻しをすることはできないとの立場をとっています。

 

例外として、家庭裁判所の仮分割の仮処分がありましたが、今回の改正で要件が緩やかとなりました。(旧法「事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるとき」⇒改正法「相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する金銭債権を行使する必要があると認められるとき」)

 

また、改正法では、上記家庭裁判所の仮分割の仮処分とは別に、一定額(各口座ごとの預貯金額×法定相続分×3分の1)の預貯金について相続人が単独で払い戻しができるようになりました(民法909条の2)。

 

なお、限度額とされる「法務省令で定める額」について、「民法第909条の2に規定する法務省令で定める額を定める省令案」によると、「150万円」とされています。なお、この省令案については、平成30年10月27日までパブリックコメント(意見募集)の対象となっています。

 

近藤

 

【改正・条文】

民法

第909条の2(遺産の分割前における預貯金債権の行使)

各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の3分の1に第900条及び第901条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。

 

家事事件手続法

第200条 (遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分)

3 前項に規定するもののほか、家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権(民法第466条の5第1項に規定する預貯金債権をいう。以下この項において同じ。)を当該申立てをした者又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部をその者に仮に取得させることができる。ただし、他の共同相続人の利益を害するときは、この限りでない。

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