家族信託(民事信託)の実務 ~認知症対策型 前編~

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家族信託(民事信託)の実務 ~認知症対策型 前編~

みなさんこんにちは。

司法書士の近藤です。

 

さて、家族信託についてブログを連載しておりますが、

これまでは具体的な実務について、総論的な部分を書いてきました。

 

今後は、この家族信託が、「実際にどういった場面で使えるのか」という視点から書いていきたいと思います。

 

本日は「認知症対策型」の家族信託について前編となります。

 

現状、最も多く活用されているパターンがこれだと言われています。

 

では実際メリットとしてはどんなことがことがあるのでしょうか?

 

通常、認知症になって本人の意思能力がなくなると、財産を動かすことができなくなります(意思能力を欠いた者の法律行為は無効です)。

 

この場合、家庭裁判所に成年後見人を選任してもらうことが考えられますが、成年後見人は基本的に、本人のために、本人の財産を守る役割であるため、必要性がない限り財産を動かすことが難しくなります。

 

そこで、この家族信託を活用すれば、認知症になった後であっても、例えば、相続税対策として、マンションを建てるために受託者が借入をし、信託された不動産に担保を設定したり、子や孫に扶養の範囲でお金を援助するために、不動産を処分することが可能となります。

 

ただし、家族信託だけでは、成年後見人の「身上監護権」がないため、例えば、施設の入退所の手続きや、治療、入院の手続きを受託者が代わりに行うことができません。

 

では、続きは次回とさせていただきます。

 

近藤

 

 

~以下、参考条文となります~

 

(成年後見人の選任)
第843条
4 成年後見人を選任するには、成年被後見人の心身の状態並びに生活及び財産の状況、成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無(成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無)、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。

 

(成年被後見人の意思の尊重及び身上の配慮)
第858条  成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
 
(成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可)
第859条の3 成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
 
準用(受任者の注意義務)
第644条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
 

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