相続から遺産分割までの賃料

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相続から遺産分割までの賃料

みなさん、こんにちは。

司法書士の近藤です。

 

さて、相続財産の不動産から生じる賃料について、

相続開始(死亡時)から遺産分割協議までの期間のものは誰に帰属するのでしょうか。

 

まず、民法第909条では、「遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。」と規定されていますので、相続財産は相続開始時にさかのぼって相続人が取得するのが原則となります。

 

次に、最高裁平成17年9月8日判決によると、

「金銭債権である賃料債権であり、遺産とは別個の財産である。各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得する。賃料債権は、後にされた遺産分割の影響を受けない。」として、相続財産にあたらず遺産分割の対象とならないとしています。

 

では、賃料債権について、遺産分割で特定の相続人に取得させることはできないのでしょうか。

 

東京高裁昭和63年1月14日決定では、賃料債権は相続財産とは別個のものであるとしながら、

「相続財産と一括して分割の対象とする限り,例外的に遺産分割の対象とすることも許容される」とし、遺産分割の中で特定の相続人に取得させることを肯定しています。

 

近藤

 

最高裁平成17年9月8日第1小法廷判決(抜粋)

「遺産は,相続人が数人あるときは,相続開始から遺産分割までの間,共同相続人の共有に属するものであるから,この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は,遺産とは別個の財産というべきであって,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。遺産分割は,相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるも のであるが,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した上記賃料債権の帰属は,後にされた遺産分割の影響を受けないものというべきである。」

 

東京高裁昭和63年1月14日決定(抜粋)

「相続開始後遺産分割までの間に相続財産から生じる家賃は相続財産そのものではなく,相続財産から生じる法定果実であり,相続財産とは別個の共有財産であり,その分割ないし清算は原則的には民事訴訟手続きによるべきものである。ただし,相続財産と一括して分割の対象とする限り,例外的に遺産分割の対象とすることも許容されるものと解すべきである。この場合,当事者の訴権を保証する 観点から,相続開始後遺産分割までの間の家賃を遺産分割の対象とするには,当事者間にその旨の合意が存在することが必要であると解するのが相当である。」

 

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